HADES(ハデス)洋ゲーさを感じさせない桃太郎ライクなゲーム。クリア後のプレイ感想

ザグレウスはなぜ地上を目指すのか?

ザグレウスはなぜ何度も何度も死にながら、苦しい壁を乗り越えながら地上を目指すのでしょうか?

ストーリーの端々で感じ取れるは明らかな「父親との確執」ですね。冥界の生活にうんざりしているわけではなさそうで、その証拠にハデス王以外の冥界の住人とは非常に良好な関係を気づいているためです。

師匠のアキレウス、育ての母親のニュクス、3つ頭のケルベロス、気配りの届くデューサ、などなど個性的なキャラクターが冥界のハデスの館には居て、ザグレウスと良好なコミュニティーを気づいていることが会話から伺えます。

では、原因は「父親との確執」としてそれが生まれた根本原因は何か?それはストーリーの中で明かされます。

ザグレウスは与えられた冥界の仕事をこなすのが大の苦手のようです。そして、仕事を与える側のハデス王に怒られ、周りの冥界の住人からは「あいつはなにをやってもダメでしょ」と少しバカにされている、的なストーリーが展開されるシーンがあります。

なるほど、ザグレウスは職場で陰湿なパワハラを受けていたわけです。父親とその周りの者から無能扱いされ、こんな生活もう嫌や!と館を抜け出していたのです。

根本原因は仕事のパワハラですが、それが父親との確執を生み、それがくすぶっているときに生みの親と育ての親が違うことを知ってしまったザグレウスは「自立」と「生みの母親の愛」をもとめて地上を目指します。

若さゆえの暴走なのでしょうか。グラフィック上はそこまで若く見えませんが(笑)、勢い、甘え、無計画さ、という若さゆえの特徴が見え隠れします。

これ桃太郎やん?

ここでわたしはふと思いました。「これ桃太郎やん」と。

いぬ、さる、きじは神々。「ネクタル」はきび団子。移動中に仲間を集めて強くなって鬼(ハデス王)を倒すと。

桃太郎はなぜ鬼ヶ島を目指したのか?がわたしの中でずっと疑問でした。村が襲われているから救いたい、だけが動機だったのでしょうか?違うと思っていました。そんなことで命を掛けられますか?

そうなんです。桃太郎も実は、「本当の親を探して」おじいさんおばあさんの家から「自立」したかったのだとしたら?辻褄が合うわけです。

桃太郎は桃から生まれましたがその桃はどこから来たのか?生みの親が居るに違いありません。成長した桃太郎は思ったはずです。「俺の本当の両親はどこにいるのだろうか?」と。

おじいさん、おばあさんの家での生活は悪くありません。ふたりとも優しく桃太郎を育ててくれたからです。ここはザグレウスと境遇が違いますが、大きくなると自立したくなるのは人間の性。

自立とともに両親を探そう、として言い訳として「鬼を退治する」とおじいさん、おばあさんに伝えたわけです。桃太郎の本心は前者にあって、後者はおじいさん、おばあさんを悲しませないようにする桃太郎の優しさだったわけですね。

冥界に必ず戻るザグレウス

自立と生みの親を探すために旅に出た桃太郎は、途中でいぬ、さる、きじと仲間と出会い、もともと言い訳として使っていた鬼退治ですが、期せずして鬼を退治してしまいます。

桃太郎は手に入れた金銀財宝を持って、生みの親を探すことはせず、おじいさん、おばあさんのもとに帰ります。これはもう理屈抜きでやはり育ての親、仲間がいる場所に戻ってしまうのでしょう。

お金を得たことで自立は達成しました。あとは旅をすることで 勢い、甘え、無計画さという若さゆえの特徴が削ぎ落とされ、育ての親への感謝の気持ちに家に帰ったと解釈しています。

前置きが長くなりましたがザグレウスもきっと同じです。

どれだけ地上で実の母親と長く暮らそうと、桃太郎がそうだったようにザグレウスも冥界に戻ることでしょう。それは地上に出ることで自立が達成され、勢い、甘え、無計画さ、が無くなり「父親との確執」が消えてなくなるからです。

なぜハデス王はああまでしてザグレウスを止めたかったのか?

それは、地上に出て母親と会っても必ず冥界に戻ることになるから、ザグレウスに悲しんでほしくなかったという親心ですね。そして親の心子知らず。ザグレウスはそれを単なる嫌がらせ、父親の傲慢さだと思っていましたが、自立心を得ることによってそれが父親の優しさだった、と気づくわけです。

それに気づいたザグレウスはいつでも母親に会える状況になっても、必ず冥界に戻るのでした。

あとがき

ザグレウスと桃太郎の共通点と心の葛藤を比べてみましたがどうでしょう?絵本に描かれる桃太郎はアホ面していますが、ワンピースの「嘘つきノーランド」のストーリーを幼い頃に読んでから、アホ面の裏に隠された感情の機微に敏感になりました。そのためこのような妄想をたまに繰り広げています。

さて、それはそれとして洋ゲー嫌いのわたしでも『HADES(ハデス)』は非常に楽しめたゲームでした。いまでも1日20分ほど時間が開けばサクッとプレイしています。

サクッとプレイして、それが細々積み上がっていく点もこのゲームの魅力です。

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haruyoshi