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シェンムーアニメ化に添えて|これほど楽しんだゲームも、これほど落胆したゲームもない

こんにちは!なっしー( @nassy_game )です。

この記事ではシェンムーを愛し続けた男なっしーが、シェンムーアニメ化に添えてシェンムーについて思うことをぶちまけます。

肯定したり否定したり勝手な意見を述べます。

この記事を読んで「シェンムーをプレイしてみたい!」と思ってくれたら、それはそれでありがたいです。

まったく思わなくても、過去にこんなゲームがあったのか、と思いを馳せてもらえればこれ幸い。

シェンムーⅠ&ⅡをプレイしていてシェンムーⅢを未プレイの人は、ぜひシェンムーⅢをプレイしてみてほしい。

理由はこの記事を読めばわかります。

ぜひ最後までご覧ください。

シェンムーアニメ化の発表

2021年10月8日、シェンムーのアニメ作品が制作されていることが発表されました。

公式ツイッターの発信とともにPVがYou Tubeで公開されています。

涼や藍亭や原崎はもちろん、チャーリーやチャイまで出ているのでゲームのストーリーを忠実に再現してくれるのかも。

ファミ通の記事によると、『シェンムー ジ アニメーション』はドリームキャスト用ソフト『シェンムー 一章 横須賀』をおもに原作として2022年に配信予定となっています。

アニメーション制作はテレコム・アニメーションフィルム、監督は櫻井親良氏が務めることも発表されているため日本での放送が楽しみですね。

いまのところPVの音声は英語のみが公開されています。

日本語字幕がついていますが日本での配信・放送予定は現時点で確定の情報がありませんでした。

アニメ公式ツイッターが日本語で発信しているので日本での配信・放送もされるだろうとは考えられます。

なぜ2022年にもなって1999年に発売されたゲームのアニメ化が行われるのか?

2019年に発売されたシェンムーⅢも、爆発的な売上を記録したわけでもないのに。

それはきっと、1999年に 『シェンムー 一章 横須賀』 をプレイして、シェンムーにとりつかれたアラフォーおやじが(女性かもしれませんが)制作会社にいるからでしょう。

会社内で出世したそのシェンムー大好きなおやじが、企画を通せる力も持ち、結果生み出されたアニメ、そうに違いありません。

かくいうなっしーも1999年の14歳のとき、 『シェンムー 一章 横須賀』 をプレイして衝撃を受けた者の一人。

もしエンタメ業界で働いていたら「シェンムーに関わる仕事がしたい」と思ったかもしれない。

それぐらい多くの人に影響を与えた画期的なゲームと言っても過言ではありません。

『シェンムー 一章 横須賀』のインパクト

当時シェンムーのゲームジャンルは「FREE」と表現されていました。

「オープンワールド」というジャンルが確立される何年も前にそのコンセプトはFREEとして出来上がっていたのです。

オープンワールドの金字塔であるグランド・セフト・オートもシェンムーに影響を受けたゲームであることは有名な話。

それだけ世界のゲームに影響を与えた斬新なコンセプトだったのです。

今では当たり前ですがNPCが意思を持つように階段を登ったり店に入ったりするのは当時はありえないこと。

他のゲームではだいたい同じ場所に留まるか、ぐるぐる歩き回っているだけの意思を感じられない状態。

NPCとの会話も電源スイッチのようにオンオフをしているだけ。

ところがシェンムーでは、シチュエーションによって会話の内容が変わり、そこでしか発生しないイベントがあり、天気が変わり、夜だったり昼だったり時間もバラバラ、見落としたら発生しないイベントもある。

そんなことはそれまでのゲームにはなかったのです。おそらく。

NPCひとりひとりがゲームの中でちゃんと生活をしている。

中華料理屋でご飯を食べて家に帰る人。

夜になるとバスから帰路につくサラリーマン。

朝になると学校に通う女子高生。

とあるアパートの階段の下からスカートの中を覗き込めてしまう、なんとことも実際にありました。

道路に雪が積もっていると雪を踏む音がする。

すごい!歩く場所によって音が変わる!と興奮したことを覚えてます。

藍亭初登時の表情の不気味さや見事な中国の服のシワの表現。

路地や公園、汚いアパートの裏、怪しいバーが立ち並ぶ通り、好きなところに行ける。いろいろなお店に入れる。入ってお店で買物もできる。

コンビニの商品を手で掴み、くじを引いてセガサターンのゲームを当て、自宅のセガサターンでひたすらゲームをすることもできる。

ゲームの中でニート生活。

友人に電話するときは黒電話のダイヤルをいちいち回さないといけない。

近所のコンビニ店員、ホットドック屋台のイケイケ外国人、公園で日向ぼっこしているおじいさん、フォークリフトで毎日倉庫で働く労働者たち。

現実でも普通にいる人たちがゲームの中でリアルな息遣いを感じさせてくれる。

彼らとのやり取りがストーリーにも深く関わっており、ドラクエやFFでは味わえない現実世界で主人公と一体となっている感覚を味わうことができました。

セガのゲームでは、龍が如くやキムタクが如くで今もそのDNAが受け継がれています。

シェンムー以来、この手のゲームが大好きになりました。

なっしーのセガへの入れ込み

少し脱線してなっしーのセガへの思い入れをちょっとだけご紹介します。

忘れもしない小学3年のクリスマス。サンタさんにお願いしてセガサターンとバーチャファイターを手に入れました。

セガサターンはアーケードゲームをどんどん移植している時期で、家でひとりで特訓をして、アーケードに繰り出し友達にドヤることができました。

セガラリーチャンピオンシップではレーシングコントローラーを使い、バーチャコップではバーチャガンを使う。

家庭でゲーセンのゲームが堪能できる。すばらしい出来事。すばらしい体験を提供してくれるハードでした。

プレステはしばらく買わず、セガサターン一筋で頑張っていました。

が、やはり世間の荒波には対抗できず。

FF7がプレステで発売されるタイミングでついに挫折してプレステを買います。

それでもセガ党なのでドリキャスはすぐに購入。

冷却ファンがぶっ壊れても新しいドリキャスを買いなおすくらいでした。

当時PS2とのライバル争いをしていましたので当然PS2は買いません。

みんながウィニングイレブンをやっているときにわたしはサカつく。

みんながアーマード・コアをやっているときにわたしはフレームグライド。

ビジュアルメモリを学校に持っていって魅力を伝えようとし、シーマンがいかに奇妙なゲームなのかをアピールする。

ダイナマイト刑事を自宅でできると友達に喧伝して売り込み。

タイピング・オブ・ザ・デッドでブラインドタッチをマスターする。

これは今だにタイピングが爆速なので助かっています。

しかし、そんな努力の甲斐もなくドリキャスを持っている友人はまわりにほぼおらず。

まれにいれば兄弟のような情が芽生えたものです。

ドリキャスの撤退とシェンムーⅡからⅢへ

『シェンムー 一章 横須賀』が制作費のわりに売れていないことはひしひしと伝わっていたのでセガが家庭用ゲーム機からの撤退を発表したことは残念でしたが潔く受け入れました。

撤退発表後にシェンムーⅡが発売されましたがⅠのような情熱をゲームから感じることはなかったです。

マップは広がり、魅力的なキャラもいましたがⅠのような息遣いを感じるようなキャラの生活感は薄まり、探索する面白さは消え「広いダンジョンをめぐるアクションゲーム」になっていました。

それでもシェンムーⅡは最後までプレイし、続編ありきの体裁で終わったため、いつかPS2やXboxで続編が出ることを期待。

その後もしばらくドリキャスのゲームを買い続けます。

サクラ大戦は名作でしたねー。何回遊んだことでしょう。

他にもポップンミュージック、サンバDEアミーゴ、ジェットセットラジオ、パワーストーン、チューチューロケット、スペースチャンネル5などなど。

名作ばかりでしたよ。なぜ売れない!

PS2に手を出さずなんとかセガに貢献しようと一人ドリキャスのゲームを買い続けていましたが、このサイトを一緒に運営している「ふじむー」の家で「ニード・フォー・スピード アンダーグラウンド」をプレイして挫折。

あのアンダーグラウンドさときたら。

日本のゲームにはなかったゴリゴリのストリートチューンの車が作れる。

そんな車を雨が滴るリアルなダウンタウンで爆走させることができる。

ニトロを使ったときの画面のうねりの表現。

凄まじかったです。

シェンムー以来の衝撃を受け、ついにPS2を買いました。

あとはひたすらPS2でゲームをやりつつ、心のどこかで続編が出ることをいつかいつかと期待する日々。

開発中か!?みたいな怪情報が出回るたびに期待を裏切られるの繰り返し。

だがしかし。

その時は唐突に訪れます。

2015年、E3でシェンムーⅢの開発に向けたキックスターターでのクラウドファウンディングが発表され、2019年11月19日ついにシェンムーⅢが発売されました。

長い。

2001年にシェンムーⅡが発売されてから実に18年の歳月。

16歳だったなっしーは34歳。

シェンムーⅢは昔別れた彼女との再開のような妙な感覚。

それでもどんなふうに変わったのか見てみたいという興味のほうが強い。

そんな気持ちでした。

キックスターターには参加しませんでしたが発売日に入手できるよう予約で購入。

しかしちょうど仕事が忙しくなったのと子どもの出産も重なってしばらくプレイできず。

約1年後にようやく開封してプレイを開始しました。

『シェンムー』早すぎて遅すぎたゲーム

プレイ開始直後はⅠ&Ⅱの続きを知れる喜びと芭月涼や莎花の懐かしさでアドレナリンが出ており、どんどんストーリーを進めていました。

が…。

シェンムーⅠは早すぎたし、シェンムーⅢは遅すぎました…。

Ⅰのころはシステムや操作性で引っかかることはありませんでした。

ⅠやⅡが思い出補正されているのも少しあったでしょうが。

それが2020年になってシェンムーⅢをプレイしていると、どうしても最近のオープンワールドゲームと比較してしまう自分がいる…。

キャラクターのとんがった鼻。

ツヤツヤの皮膚感。

出来の悪いロボットのような会話。

ズームしないと取れないアイテム。

動かないNPC。

シェンムーⅠやⅡのオリジナリティを尊重した操作性も、最新ゲームの優れたUI/UXには及ばない。

プレイを続けているとだんだんストレスを感じるようになっていきました…。

昔の光り輝いていた記憶の中のシェンムーが、直近の優秀なゲームたちによって思い出が上書きされていく。

『シェンムー 一章 横須賀』のあのとんでもないプレイ後の感動は勘違いだったのか?

18年の歳月が記憶を美化し、ありもしない幻影を作り上げたのか?何もかも思い込みだったのか?

これほど辛いことはありません!

強制的な金稼ぎで挫折

クリアだけはしよう!鈴木裕さんが考えたストーリーを最後まで見届けよう!

と思ってストレスに耐えプレイをする日々を続けました。

合間に龍が如くをプレイすると、その動きの滑らかさ、操作のしやすさの違いに愕然とする。

それでもストーリーをたんたんと追うように進めていましたが、強制金稼ぎイベントでついに挫折しました…。

初代PS、PS2とセガを愛するあまり挫折を味わってきましたがついにセガのゲームで挫折させられるとは…。

しかもわたしはどれだけつまらなくても買ったゲームは必ずクリアします。

クリアした上で最終的にどうだったのか?を語らないと失礼だからだと思っているからです。

にも関わらず、シェンムーⅢは途中で挫折してしまいした。

見ていられなかった。というのが実際の感覚に近いかもしれません。

なんとかクリアしようと、ググって効率的に大金を稼げないかも調べました。

シェンムーでは賭けでお金を得たり、アイテムをお店に売ってお金を得る仕組みがあります。

攻略サイトでは必ず勝てる賭けでお金をため、安いアイテムを大量に購入し、組み合わせて高額で販売する、という方法が紹介されていました。

同じ方法を実践しましたが、アップデートされてしまったのか買取額が低くなっておりすぐ大金を入手できず。

となると膨大な時間を掛けて大金を手にする必要があります。

絶対賭けで勝つ方法も用意されていますが、それでも時間がかかります。

いい大人がゲームの中で大金を稼ぐためだけに数時間も同じことを繰り返せないのよ!と鈴木さんへ言いたい。

ゲームをする時間も限られている日々なのに…。

楽しみもなく、無目的に勝てるとわかっている賭けをし続けなくてはならい。

なぜそんなことをユーザーに強いるのか!

シェンムーⅢのターゲットは絶対働く世代。

そんな我々の仕事で疲れた体をむち打ち、子育ての狭間の貴重な時間をゲーム内での金稼ぎに費やせと!?

旅先でのお金の辛さを体験させたいからなのか?

そんな制作側のエゴは通用しないとバーチャファイターで思い知ったのではないのか鈴木さん!

おっと。ちょっと感情的になってしまいました。

そんなこんなで、ここでわたしは挫折しました。

それ以来、シェンムーⅢはプレイしていません…。

ロストジャッジメントは楽しく遊べているというのに。

それでもセガが好き

シェンムーⅢは挫折しましたが今でもセガが好きです。

特に龍が如くシリーズ。

シェンムーで失われた心の隙間。

FFでもドラクエでも埋められないそれを一瞬で埋めてくれました。

セガでもめちゃくちゃおもしろいゲームがある!と胸をはって言える。そんなゲーム。

なっしーは2005年の一番最初の龍が如くから龍が如く7まですべてプレイしてます。

そして、ジャッジアイズ、ロストジャッジメントもプレイしてます。

龍が如くスタジオが好き。名越監督が好き。

名越さんはなぜセガをやめてしまったんだ!中国企業に行ってしまうのか…。

名越さんの退職は辛いですが今後も龍が如くシリーズは買い続けます。

龍が如くで使われているドラゴンエンジンでシェンムーⅢが作れなかったのか!?

鈴木裕さん率いるYS.NETは別会社かもしれないが、鈴木裕さんと名越さんの繋がりがあればできなくはなかっただろうに!

勝手に悔やんでます。

シェンムーⅢがドラゴンエンジンで復活していればもっと売れたであろうに。

シェンムーⅠ&Ⅱも、龍が如く極シリーズのようにドラゴンエンジンで復活してくれたら…。

メガドライブの追加開発をしつつ別チームがセガサターンを作っていたような、横のつながりが薄いセガの社風を考えると致し方ないのかもしれない。

それでもいつかやってくれるのではないかと。

シェンムーⅠ&Ⅱはフルリメイクされていないので期待してしまっている自分がいます。

最後に

シェンムーⅢを全クリしていないくせに何を偉そうに言っているんだ?

というツッコミをいただきそうですが、その通りです。

あれ以上、シェンムーⅢをプレイすることが辛かった。

そう理解してもらえると幸いです。

1999年に発売された 『シェンムー 一章 横須賀』 のインパクトがすごすぎた。

当時の常識を覆すゲーム体験。

そんな体験をシェンムーⅢにも求めてしまったのかもしれない。

鈴木裕さんはどこかで何かを用意しているのではないか!?

プレイを進めていくほど期待が遠ざかっていく。

だったら見なかったことにしてシェンムーⅠを思い出の宝箱にしまい込み続ける。

そういう選択をしたということです。

リマスターされた「シェンムーⅠ&Ⅱ」をぜひプレイしてみてください。

そして、このゲームが1999年と2001年に発売されたゲームだということを想像してみてください。

どれだけ開発に労力をかけたのか?

どういう気持で目の前のNPCが作り上げられたのか?

壁の落書き、自販機のデザイン、公園のベンチ、電話ボックス、いろんなものを細部まで見てください。

きっと、当時の制作陣の気持ちが伝わるはずです。

この時代にここまでやるか!?

と驚くこともあるでしょう。

それらも含めて歴史を体感できる、素晴らしいゲームになっています。

さらに!

興味があればシェンムーⅢもプレイしてみてください。

Ⅰ&Ⅱとの違い。落差。違和感。

2019年に発売されたゲームだとは思えない使いにくさ。キャラデザ。

いろいろ比較してみてください。

すると『シェンムー 一章 横須賀』がどれだけすごいゲームだったのかがわかるでしょう!

間違いなく20世紀最高のゲームです。

以上!シェンムーアニメ化に添えてなっしーの思うことをぶちまけました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

シェンムーⅣが発売されることが決まったらシェンムーⅢを再開するかもしれません。

そのときは改めてレビュー記事をこのサイトにアップしたいと思います。